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2004年06月14日

委員長ポストをめぐる水面下の争い

本日、議会運営委員会の奥にある非公開の「理事会」にて、自民党の理事が突然の提案をしてきました。
「これまで少人数の会派(議員グループ)にも分け与えていた委員長ポストの配分方法を”ドント式”に変え、
人数の多い会派にはより多くのポストがもらえるようにしたい」とのことです。

「ドント方式」って何? - 島根県選挙管理委員会のページより

  ベルギーの法学者ビクトル・ドントが考案した計算方法。各政党の総得票数をそれぞれ1、2、3、4、という正数で順次割っていき、割った得票数の大きい政党順に議席を配分する。得票数の多い政党にも少ない政党にも、比較的公平に議席を割り当てられるのが特徴。

さて、この方式のどこが問題なのでしょうか? さらに深読みをすると・・・?

          *          *          *          *

神戸市議会には現在71名の議員がいます。
常任委員会は6つあるので、委員長ポストも6つあることになります。
6つのポストを”ドント式”で配分すると、(表1)のようになります。

(表1:委員長ポストのドント式配分)

会派名
(議員数)
自民党
17名

民主党
16名

公明党
12名
共産党
10名
新政会
7名
市民力
5名
新社会
3名
無所属
1名
議員数を1で割る
17
16
12
10
7
5
3
1
ポスト獲得順位
1位
2位
3位
4位
7位
11位
18位
議員数を2で割る
8.5
8
6
5
3.5
2.5
1.5
0.5
ポスト獲得順位
5位
6位
8位
11位
16位
議員数を3で割る
5.67
5.33
4
3.33
2.33
1.67
1
0.33
ポスト獲得順位
9位
10位
14位
17位
議員数を4で割る
4.25
4
3
2.5
1.75
1.25
0.75
0.25
ポスト獲得順位
13位
14位
18位
獲得ポスト数
2
2
1
1

(ドント式についての詳しい説明は、上の「島根県選挙管理委員会」のホームページをご覧ください)

副委員長ポストも6つあるので、同様にドント式で配分すれば委員長ポストと同じ割り振りになります。
つまり、最大会派の自民党から議員数第4位の共産党までの上位4会派だけで
正副委員長ポストを独占する結果になります。(表1)
ちなみに去年までは少数会派にも配慮したポスト配分方法だったため、
議員数第6位の会派までポストが行き渡っていました。(表2)

(表2:正副委員長ポスト配分の新旧比較)

会派名
自民党

民主党

公明党
共産党
新政会
市民力
新社会
無所属

ドント式のポスト数

4
4
2
2
去年のポスト数
3
2
2
2
2
1

このように、会派の数よりポスト数の方が極端に少ない場合、
ドント式配分ではポストが広く少数会派まで行き渡らない
という欠点があります。

例えば極端な例ですが、定員2名の「監査委員」ポストをドント式で配分すれば、
当然のように最大会派の自民党と議員数第2位の民主党だけが監査委員ポストを獲得します。
そして毎年毎年、自民党と民主党だけが監査委員ポストを独占し続けることになるのです。
(現状では監査委員ポストを上位会派で年度ごとに順番に回しています)

もちろん、「人数の多い会派がポストを独占するのは当たり前。数こそ全て。」という考えもあります。
けれど、議会の最大の特徴は「多様性」、つまり「色々な立場の人が集まっていること」です。
最後の議決は多数決となるにしても、途中の運営は少数会派に配慮しなければ、
議会はその最大の特徴である「多様性」を失い、機械的な議決装置になってしまいます。

先ほどは6つの委員長ポストと6つの副委員長ポストを別々にドント式で配分しましたが、
委員長ポストと副委員長ポストを併せて12のポストをドント式で配分すると(表3)のようになります。

(表3:委員長+副委員長、12ポストのドント式配分)

会派名
(議員数)
自民党
17名

民主党
16名

公明党
12名
共産党
10名
新政会
7名
市民力
5名
新社会
3名
無所属
1名
議員数を1で割る
17
16
12
10
7
5
3
1
ポスト獲得順位
1位
2位
3位
4位
7位
11位
18位
議員数を2で割る
8.5
8
6
5
3.5
2.5
1.5
0.5
ポスト獲得順位
5位
6位
8位
11位
16位
議員数を3で割る
5.67
5.33
4
3.33
2.33
1.67
1
0.33
ポスト獲得順位
9位
10位
14位
17位
議員数を4で割る
4.25
4
3
2.5
1.75
1.25
0.75
0.25
ポスト獲得順位
13位
14位
18位
獲得ポスト数
3
3
2
2
1
1

(表1)の時と比べて、だいぶ少数会派までポストが行き渡るようになりました。
やはり、ドント式はポスト数の多い場合に使うべき方式であって、
会派数よりも少ない5ポストや6ポストの配分に使うと偏った結果になるようです。

          *          *          *          *

さて、余談ですが、なぜ今回急にこのような提案が自民党の理事から出されたのか?
以下は私の勝手な深読みです。

神戸市議会の自民党は、最大会派の「自民党」と議員数第5位の会派「新政会」に分裂しています。
「自民党」と「新政会」にはそれぞれ強力なボス議員がいましたが、
この春、「新政会」の内紛で「新政会」のボス議員は会派を飛び出し、ひとり無所属になりました。
そして今回の理事会で「自民党」の理事がドント式配分を提案してきたのです。

「自民党」の理事は「だいぶ前から我が会派内では”ドント式”を求める声が強かった」と言いました。
それを今回突然に提案してきたのは、単なる偶然か?
上の(表2)を見ると、ドント式配分で「新政会」は正副委員長ポストを2つも失うことになります。
「新政会」からボス議員が去ったタイミングを見計らって、「自民党」が一気にポストを奪取するのか?

議会とは、げに恐ろしき処なり・・・

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