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2001年9月
 
いさか新聞 14号 「神戸の港に未来はあるのか?」

●アジアの港はすごかった

●なぜ神戸の港の船が減りつづけるのか?

●港が神戸の経済に与える影響は?


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ジアの港はすごかった

9月上旬に神戸市議会の新人議員4人でアジア各国の港の視察に行って来ました。(今回は公費です)
シンガポール、マレーシア、香港、天津、上海、釜山を1週間でまわるハードスケジュールでしたが、
若い元気な議員が中心だったため、さらに行き先を追加するなど充実した視察となりました。

右の表は、2000年の各港の取り扱いコンテナ数と前年からの伸び率、そして世界ランクです。
日本の港はアジアに比べて伸びが悪いですが、
それでも名古屋港のように工夫を重ねて 20%以上の伸び率を達成している港もあります。
一方、神戸港は1990年の世界ランク5位から、 1998年には東京と横浜に抜かれて17位、
そして2000年には25位と低下しています。

コンテナ数

前年比

順位

香港(中国)

1780万

9.8%

1位

シンガポール

1704万

6.9%

2位

釜山(韓国)

754万
17.1%

3位

上海(中国)

561万

33.3%

6位

東京

296万
9.8%

16位

横浜

240万

10.5%

20位

神戸

203万

−6.7%

25位

名古屋

189万

20.6%

28位

神戸港の施設は震災後さらにパワーアップし、バース(船着き場)の数や深さ、ターミナル面積など、
ハード的な数字を見れば間違いなくアジア第1位の港ですが、せっかくの施設も宝の持ち腐れです。
それに比べて、今回視察したアジアの港は、どこも貨物船が港の入り口で順番待ちをしており、
情報化・効率化を進めて365日24時間営業で必死に荷物をさばいている状態でした。

中でも最先端の運営をしていたのがシンガポール港です。
太平洋とインド洋をつなぐ東西航路の節目にあるため、輸出入ではなく中継貿易の割合が高く、
「どれだけ速く効率的に荷物の積み替えが出来るか?」ということを徹底的に追求しています。
遠隔操作のクレーンの先端にあるカメラで荷物を確認し、
コンピューターの指示どおりに荷物を移動すると、
そこに無人ゲートで行き先を指示されたトラックがちょうど時間通りに到着している…という具合に、
全ての情報が一元的に管理されているのには驚きました。

シンガポールの港湾運営会社が開発した、この「ポートネット」という情報管理ソフトは、
ターミナル運営の情報だけでなく、船のスケジュールや積荷の種類、入港審査、代金のやり取りなど、
海運会社や役所や銀行の全ての情報をインターネット上にまとめていて、誰でも確認ができます。
シンガポールの港湾運営会社は、この優れたソフトを使って中国やアメリカ、
そして北九州の港でもターミナル運営の仕事を獲得しようとしています。
港湾運営をビジネスとして戦略的に組み立てているのを見て、神戸港との違いを感じました。

 

ぜ神戸の港の船が減りつづけるのか?

神戸港は日本の他の港に比べても港湾施設の利用料が高いのではないか?という質問に対して、
市役所はいつも「港の利用料金はどこも横並びで神戸だけが高いわけではない」と答えてきましたが、
私は本当にそうか確かめてみようと思い、最近勢いのある名古屋港について調べてみました。

平成11年から12年にかけて商工会議所が中心となって役所や民間会社が協力した結果、
名古屋港の港湾利用料金は大型コンテナ船で2.6%、約40万円も安くなり、
名古屋港全体の取扱い貨物量は前年比15%の驚異的な伸びを示しています。
港の基本使用料は神戸と同じであったとしても、大型船は5%オフ、日曜日は30%オフ…等々、
細かい割引ルールを設定して、実質的な利用料金を値下げする努力を怠っていません。

もうひとつ名古屋港が頑張っているのが、ポートセールス(港に船を呼び込む営業)です。
この数年で名古屋港は福井県や滋賀県などの会社に熱心な営業を続けて、
これまで神戸港から輸出入していた荷物を次々と名古屋港に呼び込んでしまったそうです。
神戸港にとっては悔しい話ですが、このような細かい努力の積み重ねが今の名古屋港を支えています。

「実は、大阪港はいつも神戸港の30%引きで値段を設定しているらしいです」
9月議会の決算委員会で、私の質問に対して助役はついに神戸港の利用料金が高いことを認めました。
神戸港は商売の基本である価格戦略と営業努力で負けています。
巨大なバース(船着き場)を造れば黙っていても大型船が来てくれるような時代ではないのです。

 

が神戸の経済に与える影響は?

神戸市の港湾運営は、「港湾事業会計」という独立した会計で採算を合わせる方式です。
港の建設や運営にかかる費用は、神戸港を利用する船会社からの収入でまかなうことになります。
しかし、例えば神戸港の利用料を無料にすると、港湾事業会計ではどれだけ赤字が出て、
その代わりに船がどれだけ増えて、神戸の経済はどれだけ潤うのでしょうか?

昔は元町沖に船が着けば、港湾労働者が荷物を担ぎ、船員は元町で夜通し飲み明かす、
…というように、目に見える形で神戸の経済は潤っていました。
昭和61年のデータによりますと、市民の全所得のうち38%が港湾関連で発生した所得、
市内の全就業者数のうち17%が港湾関連で発生した雇用ということで、
その当時の港が神戸の経済に与える影響がはっきりと数字で計算されています。

ところが、この15年前の調査以来、神戸市は港の経済効果について調査を行っていません
これでは神戸港が生き残るための新しい価格戦略を考えることも出来ません。
港の建設・運営費を回収できるような利用料金の設定、他の日本の港と横並びの利用料金の設定、
そのような受身の価格戦略を続けている間に、船はどんどんアジアの港に移って行ってしまいます。

港湾事業会計の内部だけで採算を合わせる企業会計方式ではなく、
神戸の経済全体で採算を合わせるような、新しい価格戦略を検討する時期が来ていると思います。

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